患者からのハラスメント対応と予防策
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ペイシェントハラスメント【ペイハラ】とは?
医療現場における「ペイシェントハラスメント(患者からのハラスメント)」が、近年大きな社会問題となっています。スタッフへの暴言、無理な要求、診療妨害など、クリニック運営に支障をきたす事例が後を絶ちません。
特に小規模クリニックでは、院長が対応を迫られるケースも多く、対応マニュアルの未整備や、精神的ストレスの蓄積が深刻化しています。
ペイシェントハラスメントの具体的な行為?
「ペイシェントハラスメント(通称:ペイハラ)」とは、患者やその家族によって医療従事者が受けるハラスメント行為の総称です。
具体的には以下のような例が挙げられます。
•大声での威圧、人格否定的な暴言
•看護師や受付スタッフへの執拗なクレーム
•過度な診療時間の延長要求
•事務長や院長への個人的な詮索や侮辱的態度
•SNSでの名指し批判や虚偽投稿による風評被害
これらは一時的なトラブルではなく、医療機関の組織全体に悪影響を及ぼすハラスメントとして明確に対処する必要があります。
なぜペイハラが増えているのか?背景を読み解く
ペイシェントハラスメントが増加する背景には、次のような要因があります。
•患者の権利意識の過剰化(「お客様は神様」的発想の誤解)
•SNSの普及による「書き込み威嚇」の増加
•自由診療や美容医療における“サービス業化”した医療現場
•医療従事者の人員不足・対応余力の低下
とくに美容クリニックや自費診療のクリニックでは、サービス業と同一視されやすく、
無理な要求や理不尽な態度に晒されるケースが保険診療メインのクリニックよりも多く相談をいただきます。
院長・ 事務長・経営層ができる予防と対応策
クリニック経営者や事務長は、ペイハラに対し「予防・対応体制」を整えることが求められます。
院内ルール・マニュアルの整備
•ハラスメント定義と対処フローの明文化
•スタッフ教育(エスカレーションの判断基準など)
•記録の徹底(日時・発言内容など)
院内・HPによる対応ポリシーの掲載も有効
•「院内での迷惑行為はお断りします」の表示
•ハラスメント対策方針のホームページ掲載
第三者との連携
•悪質なケースは専門家と連携(弁護士、コンサル等)
•第三者を交えたリスクマネジメント強化
院長には、患者とスタッフ双方が安心できるクリニックをつくる責任があります。
ペイハラ対策は、単に「患者を排除する」ことではなく、“医療従事者の安心”と“患者の信頼”を両立させる環境整備の一環です。
特に事務長や外部の医療コンサルタントが旗振り役となり、組織としての「線引き」と「守り方」を明確にすることが重要です。
ペイハラは“個人対応”からクリニックが団結して“組織対応”をするよう、意識を変更すると劇的に負担が減ります。「たまたま起きたトラブル」として放置せず、ペイハラを“クリニックの安全リスク”と捉え防災や接遇向上の観点と合わせて意識すると良いでしょう。今後は、ペイシェントハラスメント対策を整えたクリニックこそが、長期的に安定したクリニック運営を実現していくと思います。