COLUMN

コラム

優秀人材を離職させない【1on1ミーティング】

  • #コラム
  • #人事

1on1 (ワンオンワン)ミーティングとは

 上司と部下が1対1で行う対話形式の面談、それが1on1ミーティングです。このミーティングの主な目的は、フィードバックを通じて部下の成長を促進し、信頼関係を深めることです。これにより、部下のモチベーションと組織へのエンゲージメントが高まり、結果として定着率の向上に寄与します。

日々の業務の中で上司である院長や役職者からの指示だけの関係では、部下は業務の意味や効果などに気付きにくく、業務への意欲も向上しません。1on1でお互いが向き合ってじっくり話すことで、「あの時はこういう意図があった」、「あの業務にはこういう目的がある」など、部下の気付かなかった事や誤解している事を正しく理解させることが可能となります。

1on1ミーティングに類似しているが異なるもの

雑談

雑談には目的がなく1on1には明確な「目的」があります。雑談は、日常的でカジュアルな会話であり、仕事の連携を円滑に行うためにも重要なコミュニケーションとして欠かせません。これに対して、1on1は、上司と部下間で行われる「計画的かつ目的意識のあるミーティング」です。1on1では、職務の進捗、キャリアの目標、職場の課題などについて深く掘り下げて話し合う事を軸においています。雑談は日々のコミュニケーションをスムーズにするのに対し、1on1は職務上の成長と問題解決を重視した構造的な対話といえます。

 

人事評価面談

人事評価面談と1on1ミーティングでは、目的と焦点が異なります。1on1ミーティングは、部下との定期的なコミュニケーションを通じて、業務の進捗、課題、キャリアの目標などを話し合う非公式的な要素が強い対話です。部下の成長とモチベーションの向上を目的としており、オープンで率直なフィードバックを交換する事で、上司と部下間の個人的な関係を強化できます。一方で、人事評価面談は、従業員の業務成績やパフォーマンスを正式に評価するためのものです。これは昇進や、賞与支給前の機会などに、行われる事が多く、上司が主体となり部下に対して、過去の振り返りを行い評価する事を目的としております。

 

入職時の研修面談

入職時の研修面と1on1ミーティングでは、目的と対象が異なります。1on1ミーティングは、上司と部下が定期的に行う対話で、業務の進捗、キャリアの目標、職場での課題などを深く掘り下げて話し合うのに対し、入職時の研修面談は、新しいスタッフがクリニックの文化、規則、任される役割について理解するために行います。名前の通り、この面談は通常、入職直後に行われ、新しいスタッフが職場に迅速に適応し、必要な情報を得るために大変有意義な面談です。入職時の研修面談後のフォローを、1on1ミーティングに組んで行う事で、はじめに直面しやすい課題を共に解決してあげられる事で、上司との信頼関係が構築され、課題も乗り越えやすい環境となり、部下の成長と安定にもつながります。

 

1on1ミーティングで期待できる効果

離職防止

クリニックにおける最大の問題点に、スタッフの離職が多く定着率が低いことになります。離職の最大の原因は「人間関係」であり、この人間関係のほとんどが上司と部下の関係が大半です。

 

優秀人材の育成

定期的な1on1ミーティングを通じて、個々の課題解決の為のアドバイスや、個性や強みを伸ばすことで、部下の自己肯定感が高まります。このプロセスを通じて、部下は自分自身の能力とキャリアの目標について意識して仕事に取り込む事ができます。やがて自信を持って新しい業務へ挑戦する意欲が高まり、従業員は個人としても、組織の一員としても優秀な人材へと成長します。

 

モチベーションアップ

上司が個別で部下の現状について、しっかり向き合い関心を示すことで、仕事への関心や帰属意識が高まります。個人の課題は、組織全体の課題にも共通する為、1on1ミーティングを通じて、課題解決を共に行う事で、上司と部下の信頼関係が構築され、組織の結束も強くなります。大切なのは、形式的なミーティングではなく、具体的なフィードバックやキャリア成長に関する悩みを話せて、アドバイスも出せるミーティングと関係柄となる事です。

解決策を共同で考える、乗り越える事で、部下のモチベーションが高まり、クリニック内の生産性と満足度が向上します。

 

離職三大原因の「3不」(不安・不満・不信)の払拭

優秀人材が「離職」を決断するに至る要素には、「3つの不」が存在します。それは「不安」「不満」「不信」が挙げられます。継続的な不安はミスの原因とモチベーション低下を招きます。また、給与や昇給など待遇に関する上司への不満が蓄積されると、従業員の満足度は低下し、やがて退職へと至ります。これらの放置の先には「不信」へと変化し、上長や組織への信頼喪失を引き起こし、個人の退職に止まらず、集団退職や退職連鎖につながる場合がありますので、1on1ミーティングを行い、部下と上司のコミュニケーション、情報収集、問題解決を行える環境を仕組化しましょう。

 

1on1ミーティングの基本原則と実践ガイド

1on1ミーティングは、上司と部下が1対1で行う対話形式の面談で、その主な目的はフィードバックを通じて部下の成長を促進し、信頼関係を深めることです。このミーティングは、日常業務中では行うことのない、直接的なコミュニケーションを通じた対話を行い、業務の進捗、キャリアの目標、職場の課題などについて深く掘り下げて話し合います。

 

1on1ミーティングを始める際には、まず上司と部下が1対1で個別の面談を設定します。初めての1on1では、複雑な話題を避け、ミーティングの開始とその目的について話し合うことから始めることが効果的です。ミーティングは通常、軽い日常的な話題から始めてリラックスした雰囲気を作り出し、次に業務の進捗や課題について話し合います。上司は部下の成功を支援し、ストレスを軽減するためのアドバイスを提供し、批判的な「ダメ出し」や精神論に基づくアドバイスは避けます。

 

1on1ミーティングの導入期には、部下が話したいトピックを事前に考えておくことが有効です。ミーティングの頻度は予め定めた日程で定期的に反復して行い(例: 週に1度、月に1~2度)、内容は業務関連のものから個人的な成長や職場での悩みまで幅広く扱います。形式は個室にてリラックスした環境で行い、他者を交えず、日常業務からも手が離れた時間で行うことが理想です。

 

あくまで参考例ですが、以下のような手順も参考にしてください。
1 アイスブレイク:日常的な話題でリラックスした雰囲気を作り、会話を始める。
2 業務の進捗確認:現在取り組んでいる業務やプロジェクトの進捗を確認。
3 課題と問題点の特定:業務上の課題や問題点、困難に直面している事項について話し合う。
4 フィードバックの提供:過去のパフォーマンスに関するフィードバックを提供し、改善点を議論。
5 個人的な成長と目標の明確化:キャリア目標や個人的な成長、スキル開発に関する話題を討議。
6 サポートとアドバイス:従業員が成功するためのサポートやアドバイスを提供。
7 今後のステップと行動計画の設定:議論された事項に基づき、次のステップや行動計画を設定。
8 次回ミーティングの確認:会話のまとめと次回の1on1ミーティングの日時の確認。

 

1on1ミーティングの注意点

1on1ミーティングは、評価面談や業務指導とは異なり「NGとなる態度や発言」が存在します。ついつい感情的になり「説教をしてしまう」、または上司側の「アドバイスがメイン」となってしまっては、1on1ミーティングの本質が損なわれます。従って以下の注意点を意識して、「NG」行動を避けましょう。

 

部下の話を優先する

1on1は部下のための場であり、上司は大部分の時間を聞くことに使うべきです。部下が自由に意見を述べられるよう、積極的に質問を返して話を引き出しましょう。

業績向上に貢献する会話をする

ミーティングの内容は仕事の業績向上に貢献するものであるべきです。目標設定、課題解決、キャリア成長など、生産的な話題に焦点を当てます。

事前の準備を促進する

部下にはミーティング前に話すトピックや課題を準備してもらい、共有された文書やアジェンダを基に話を進めます。

ポジティブで尊重あるコミュニケーションの維持

否定的な態度や批判、個人的な攻撃や不適切なコメントを避け、常に建設的なフィードバックとサポートを提供します。ポジティブなアプローチを心がけ、部下の自信とモチベーションを高めると同時に、尊重と理解を持って接します。

プライバシーを尊重する

プライベートに関する話題の共有が信頼関係を深めるのに役立ちますが、部下の快適さを尊重することが重要です。上司は自分のプライベートを自然に共有し、部下の緊張を和らげることができますが、部下が話したくない話題については無理に追求せず、別の話題に切り替えるべきです。また、部下のプライバシーの境界を尊重し、不快に感じるような個人的な質問は避けることが不可欠です。これにより、1on1ミーティングはより信頼と理解に基づいたものとなり、部下との関係を強化します。

具体的なフィードバックを提供する

曖昧なフィードバックを避け、部下が自分の成長に必要な改善点を理解できるようにします。

次のステップを明確にする

会話の終わりに具体的な次のステップや行動計画を設定し、ミーティングの成果を確実にします。

株式会社ジムチョー®