怪しい業者の見分け方
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「診療後の疲れた時間に、約束したかどうかも曖昧な営業担当が訪ねてきて、そのまま契約してしまった…」そんなご経験はありませんか。
実際にある○○クリニックでは、月額数十万円の広告契約を「今だけ特別プラン」と言われて結んだものの、患者数はまったく増えず、解約もできずに5年間で数百万円もムダにつながってしまった。このように怪しい業者は、院長が多忙で冷静な経営判断ができない状況を選んで接触してきます。つまり、院長が十分に検討する余裕を持てない時間帯を巧妙に利用するのです。
目次
・ 怪しい業者が狙うクリニックの弱点
・ クリニックに来る怪しい業者の典型例
・ 怪しい業者を見抜くチェックリスト
・ 信頼できる業者の特徴
・ 現場で使える断り方
・ トラブルを防ぐための仕組みづくり
怪しい業者が狙うクリニックの弱点
医療機関は一般企業とは異なる事情を抱えており、そこに付け込まれるケースが多いです。
- 院長が診療で多忙なため、営業を吟味する時間がない
- 医療広告規制や補助金制度などに詳しくない
- 「患者を増やしたい」「業務を効率化したい」という切実なニーズがある
- 経営判断を院長一人で担うため、ダブルチェックが機能しにくい
こうした環境は、強引な営業を仕掛ける業者にとって格好のターゲットとなります。
クリニックに来る怪しい業者の典型例
1. 広告・集患業者
「Googleマップを最適化すれば新患が倍増します」「SEO対策ですぐ検索上位に上がります」と甘い言葉で勧誘します。
しかし実際には、月額○○万円の固定費だけ発生し、効果はほぼゼロというケースが多数。成果保証のない契約は要注意です。
2. IT・システム業者
電子カルテ、予約システム、LINE予約ツールなどを「最新型」「効率3倍」と宣伝。
ところが導入直後は熱心でも、初期設定以降はサポートが途絶えることが多く、現場スタッフが不満を抱える結果に。
3. 物品販売業者
複合機、空気清浄機、浄水器、ウォーターサーバー、電話回線などを「医療機関専用モデル」「院内の感染対策に最適」「クリニック限定特別価格」などと強調し、相場より大幅に高い料金で契約させるケースが少なくありません。リースやローン契約などの長期間契約が多く、解約時に違約金が発生する内容も含まれています。
4. 補助金・助成金コンサル業者
「みんな通っています」「ほぼ確実に審査通ります」と言い切り、着手金30万円+成功報酬30%~50%など高額な請求を行う業者や自称助成金コンサルタントなど。実際には申請が通らず、返金もされないケースが問題となっています。
怪しい業者を見抜くチェックリスト
怪しい業者は、いくつかの“共通する点”を持っています。以下のチェックリストで当てはまるものがあれば要注意です。
【カテゴリ別】怪しい業者を見抜くチェックリスト
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1. 営業手法・トーク内容から分かる怪しいサイン
□ 契約を急がせてくる、当日中の即決を強要する
□ 「必ず」「絶対」「すぐ効果が出る」と断言する
□ 「今だけ特別プラン」「院長だけの特別価格」を連発する
□ 不安を煽る「導入しないと○○になり危険です!」など)
□ デモや試用期間を希望しても消極的
□ デメリット箇所を質問をするとはぐらかす
□ 他院の導入事例や成功例ばかり強調する
2. 契約書・費用に関する内容
□ 契約書の条文が多すぎる、字が小さい
□ 契約期間・自動更新・解約条件の説明が不十分
□ リース契約が5〜7年と異常に長く、選択肢も少ない
□ 費用の内訳が不透明(「一式」表記が多い)
□ 初期費用・別途費用などの○○費用の記載が多い
□ 解約金や機器買取のルールが曖昧
□ 途中解約が本当に可能か確認すると回答を濁す
3. 企業実態にや評判から察知する怪しい業者
□ 会社の代表者の情報が少ないまたは無い(氏名や顔画像など)
□ 担当者の名刺がチープ(安っぽい)
□ 担当者が頻繁に変わる、部署名が存在しない
□ WEB検索すると悪評が多い、口コミが二極化している
□ 会社ホームページが簡素すぎるまたは情報が少ない
□ 他院の導入実績や導入後の成果説明の内容が薄い
4. 医療機関専門としての根拠が曖昧
□ 「医療機関専用モデル」と曖昧に言うが根拠がない
□ 医療広告規制・ガイドラインの理解が浅く、情報も古い
□ 電子カルテ・予約システムとの連携質問を理解していない
□ 事務長(事務長代行含む)などの同席を嫌がる
□ 患者データを契約前に求めてくる
□ 補助金・助成金を「絶対に通る」や「99%の通る」と話す
5. 物品販売・リース契約に共通するリスクの見抜き方
□ 複合機・空気清浄機・浄水器などを「医療専用」と相場より高額提示
□ 一般相場より明らかに高い月額料金を提案
□ 解約時に高額違約金や本体買取を求められる
□ 機器の型番・メーカーを明かさない
□ 「本体無料」「初期費用0円」を強調し長期契約に誘導
6. 営業姿勢・コミュニケーションの違和感
□ 態度が強引で、断っても帰らない
□ 質問への回答が長く、論点をすり替える
□ 院長以外と話したがらない
□ 「後悔しますよ」と脅しに近い表現をする
□ 提案内容や契約方法がコロコロ変わる
信頼できる業者の特徴
反対に、信頼できる業者にも共通する特徴があります。ポイントは 2つ「透明性」と「実績」にあると考えます。
1. 営業姿勢が誠実である
・医療機関に対してしつこい営業をしない
・即決を迫らず、院内で検討する時間を尊重する
・担当者の態度が丁寧で自社商品を熟知しており説明も分かりやすい
・院長だけでなく事務長やスタッフ同席も歓迎する
2. 契約前の情報提供が明確
・契約前にトライアル期間、デモ、見積もりを提示
・料金体系、解約条件、必要な初期設定などを細かく説明
・メリットだけでなくデメリット、想定されるリスクも必ず伝える
・医療法・医療広告規制・補助金のルールなど、自社製品やサービスに関する固有のルールを理解している
3. 専門性と実績が明確
・他院からの評価や実際の説明できる
・「何を改善や解決できるのか」を定量化した数字も交えて説明できる
・競合他社の類似製品やサービスも把握しており説明ができる
・問い合わせ時の対応が誠実で医療機関特有の風土も理解している
. 企業情報が透明
・信頼できる人(医師仲間、税理士、業者など)から紹介されている
・会社ホームページの情報が豊富で、実績・方針・料金がわかりやすい
・代表者の氏名や顔写真が公開されており、実在性が明確で人柄も把握できる
・登記情報が正確で透明性が高く、関連先や取引先がある
現場で使える断り方
怪しい業者に対して感情的に断る必要はありません。第三者や予算を理由にすれば、相手も引き下がりやすくなります。
- 訪問営業:「診療中なので、資料だけ置いていってください」
- 電話営業:「経営判断は税理士に一任しています。税理士宛にご連絡ください」
- 強引な場合:「院内規定で即決はできません。必ず第三者を通します」
場面別の断り方を準備しておくだけで、不必要なストレスを大幅に減らせます。
トラブルを防ぐための仕組みづくり
クリニックの契約トラブルを防ぐために最も重要なのは、院長一人で判断しない仕組みづくりです。契約前に事務長やスタッフを同席させ、顧問税理士や信頼できる経営パートナー(親族や友人開業医、顧問コンサルなど)にも必ず相談するルールを設け、内容を複数人でダブルチェック、トリプルチェックするだけで、多くの問題は未然に防ぐことができます。
実際、クリニックに頻繁にやって来る怪しい業者には共通点があります。「今すぐ契約しないと損をする」と焦らせたり、根拠のない数字で「必ず効果が出る」と断定したり、不利な条件を隠したまま契約書の説明を曖昧にして署名を迫る──こうした手口が典型例です。忙しい院長の心理状態や検討する余裕のなさを巧妙に突いてくるため、冷静な判断が難しくなりがちです。時代に合わせて、巧妙な電話営業手法や契約方法でまくし立てられる事例を数多く見かけます。契約後ですと解約や返金に応じてくれず、できる事が少ないのも特徴です。
一方で、信頼できる業者は怪しい業者とはまったく逆の姿勢を取ります。そもそも、クリニックに対して強引な営業や過度なアポイント取りをしません。システムや、サービスなど有形無形に問わず、クリニックで導入されていきた本当に良い商品や優れたサービスは、必要以上に売り込まなくても、自然に口コミで広がり、定番化していくものです。
実際に、信頼できるサービスの多くは、
・「他院の先生が導入していて良かったと聞いた」
・「信頼している人の紹介だった」
・「院長の方から問い合わせをしてみた」
といった“自然な入り口”から始まります。
信頼できる業者は、院長の判断を急かす必要がありません。むしろ、十分に検討する時間を尊重し、必要な情報をオープンに提供し、疑問点には誠実に答えてくれます。こうした姿勢こそが、良いサービスが長く選ばれる理由であり、クリニックにとって安心してパートナーシップを築ける重要なポイントなのです。
費用対効果を数字で説明し、効果が出ない可能性やリスクも正直に伝えます。無理な営業は一切せず、検討の時間を尊重してくれるため、契約後のサポート体制も明確です。
こうした違いを院長一人で見抜くのは難しいからこそ、第三者の目が不可欠です。特に高額リース契約や効果が不透明な広告契約は失敗すると長期間にわたり経営を圧迫しますが、事前に相談するだけで簡単に避けられるケースがほとんどです。
今日からできる対策はシンプルです。
その場で契約しない。必ず数字と実績を確認する。そして第三者へ相談する──たったこれだけで、クリニックは大半のリスクから守られます。
怪しい業者を見抜けるかどうかは、これからのクリニック経営を続けるうえで、避けて通れない判断軸です。経営をしていると、大小さまざまな「選択」を迫られる場面が何度も訪れます。AとBのどちらを選ぶべきか。安くて品質がほどほどのものにするのか、高くても信頼できるものを選ぶのか。聞いたことのない会社と取引すべきかどうか。こうした判断を重ねることこそが、クリニック経営そのものと言っても過言ではありません。
だからこそ、ブレない軸が必要です。
その軸とは「人を基準にする」ということです。
そのサービスを作った人は何を大切にしているのか。
その会社を支えている人たちは信頼に足るのか。
その商品を実際に使った人がどのように評価しているのか。
そして、その営業担当は誠実かどうか。
どれだけ良さそうに見えるサービスも、どれだけ魅力的に見える商材も、最後は“人”で決まります。人を見れば、その会社の姿勢も、サポート体制も、サービスの持続性も理解できます。
クリニックの未来を守るうえで、これほど確かな判断軸はありません。
何を導入するかではなく、誰を信用するか。
そこに軸を置くことで、経営は大きくブレなくなります。