2026年診療報酬改定に向けてクリニックが準備すべきこと
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〜現場実務視点で読み解く「院内体制再設計」〜
2026年度の診療報酬改定では、かかりつけ医機能、生活習慣病管理、医療DX、地域連携・記録体制まで、クリニック経営の基盤が大きく変わります。
特に、制度側が求める方向性は「継続管理・地域連携・データ一貫性」の三つであり、これらを院内オペレーションとして再構築できるかどうかが、今後の安定経営の分岐点になります。
以下では、クリニック専門コンサル会社の視点から、2026年に向けて準備すべき5つの実務ポイントをわかりやすく解説いたします。
目次
1 かかりつけ医機能の院内フローを再設計する
2026年以降、「かかりつけ医機能」は届出の有無ではなく、院内オペレーションとして確立されているかが評価対象になります。したがって、初診からフォロー、紹介、再診に至るまでの動線を、継続管理型のフローに再設計することが求められます。
具体的には、
・初診問診の質を高め、生活背景まで把握できるフォーム整備
・必要な説明項目を標準化し、スタッフと医師が共通の基準で対応
・紹介すべき症状、疾患、判断基準のルール化
・再診予約の取り方、フォロー頻度の基準化
こうしたフロー設計により、「誰が対応しても一定の品質で運用できる状態」を実現できます。これは、2026年改定で最重要の基盤です。
2 生活習慣病管理の実績を積み上げる
2026年改定は、生活習慣病管理を「※アウトカム重視」へと大きく方向転換します。重要なのは、療養計画書を出して指導するだけではなく、患者がどう行動し、どのように変化したかという実績を蓄積できる仕組みを持つことです。
そのために整備しておくべきポイントは次のとおりです。
・検査値の推移や指導記録を一元管理し、時系列で比較
・患者ごとの行動変容目標を設定し、達成状況を簡単に確認できる様式
・医師とスタッフが評価しやすいテンプレート化された指導記録
・患者の「継続受診率」を維持するためのアプローチ
実績は自然に蓄積されるものではなく、管理できる設計をつくることが最優先です。
これにより、診療報酬の評価向上だけでなく、患者の自己管理力向上という本質的な価値を作ることができます。
※アウトカムとは
医療におけるアウトカムとは、「治療や支援により得られた最終的な結果」を指します。2026年診療報酬改定では、アウトカムが生活習慣病管理の中心評価項目になります。
具体的には次の項目が含まれます。
・血圧や血糖など数値の改善
・生活習慣の具体的な変化
・継続受診とフォローの一貫性
・患者本人の自己管理能力向上
「何をしたか」よりも「どう変わったか」が重要視される流れです。
3 DX設備と運用をセットで整える
医療DXは、設備導入だけでは評価されず、院内運用に落とし込めているかで診療報酬の評価が変わります。そのため、DX導入のポイントは「機器」と「運用設計」をセットで整えることです。
特に重要なのは、
・電子カルテ情報共有サービスを日常診療に組み込む運用ルール
・オンライン資格確認で取得した情報を診療判断に活用するフロー
・電子処方箋の説明方法、薬局との連携手順の標準化
・スタッフ教育をマニュアル化し、誰でも対応できる状態をつくること
DXは「入れたかどうか」ではなく、「使えているかどうか」で評価されます。
現場が戸惑わないように、設備導入と運用改善を同時進行で支援することがコンサルの役割となります。
4 地域連携のルートを可視化する
2026年からは、かかりつけ医機能だけでなく地域連携の実績も評価に直結します。
特に、紹介・逆紹介・専門治療が必要な場合の患者フローを可視化することが求められます。
院内で整備しておくべき点は、
・連携先リストの明確化(病院・専門医・在宅・薬局等)
・疾患別の紹介基準を明文化
・急変時の搬送ルートや専門医紹介ルートの統一
・紹介状と逆紹介情報の記録フローの整備
これにより、スタッフが迷わず対応でき、説明責任も果たしやすくなります。
また、地域連携の可視化は点数のためだけではなく、クリニックの信頼性向上や患者満足に直結する重要な経営資源となります。
5 院内の記録と説明責任の仕組みを統一する
2026年診療報酬は「説明したか」ではなく、「説明し、その記録が残り、運用されているか」が評価軸です。
そのため、院内で扱う記録様式と記載ルールを統一し、誰が担当してもブレない品質を担保する必要があります。
具体的には、
・療養計画書の記載基準と説明項目を統一
・指導記録、説明文面、フォロー項目をテンプレート化
・記録漏れを防ぐチェックフローの設計
・医師とスタッフ間で共有しやすい記録運用ルールの明確化
記録は「負担」ではなく、クリニック経営の安定と診療の質を支える資産です。
2026年改定の核となる「一貫性あるデータ管理」は、記録統一から始まります。2026年診療報酬は「説明したか」ではなく、「説明し、その記録が残り、運用されているか」が評価軸です。そのため、院内で扱う記録様式と記載ルールを統一し、誰が担当してもブレない品質を担保する必要があります。
具体的には、
・療養計画書の記載基準と説明項目を統一する
・指導記録、説明文面、フォロー項目をテンプレート化する
・記録漏れを防ぐチェックフローを設計する
・医師とスタッフ間で共有しやすい記録運用ルールを明確化する
記録は「負担」ではなく、クリニック経営の安定と診療の質を支える資産です。
2026年改定の核となる「一貫性あるデータ管理」は、記録統一から始まります。
2026年に記録統一が必須となる理由は、診療報酬が「書類の有無」ではなく「運用の一貫性」を重視する方向へ変わるためです。
誰が説明しても同じレベルで説明でき、同じ様式で記録され、その記録が次の診察や指導に確実につながる体制が求められます。
記録様式がバラバラだと、患者の変化が追えず、指導内容に重複や漏れが発生し、医師ごとに説明が異なり、スタッフの判断も揺らぎ、療養計画書の更新も形骸化してしまいます。
こうした状態では、アウトカム評価の要件を満たすことができません。
また、漏れを防ぐためのチェックフローをつくることで、院内のオペレーションは一気に安定します。
初診時問診の取り方、説明後のチェック欄、テンプレート記録の流れ、紹介時のルール、生活習慣病患者のレビュー間隔など、確認すべき手順を整理することで、「何をすれば正解か」が明確になります。
この統一は監査対策としても強力です。
2026年以降は生活習慣病管理、かかりつけ医機能、医療DX関連加算など、説明責任の厳格化が進みます。
記録が統一されているだけで、監査時に「一連の流れ」として説明でき、院長が困る場面が大幅に減ります。
さらに、記録統一は医師・スタッフ双方の働きやすさにも直結します。
説明文面がテンプレ化されれば入力時間が短縮され、判断基準が統一されることで迷いが減り、新人スタッフも即戦力として動きやすくなります。
院内で使う言葉が統一されるため、患者トラブルも減少します。
このように、記録統一は2026年改定へ備えるだけでなく、日常診療の効率化・品質向上にも直結する、クリニック経営における最重要テーマの一つです。
診療報酬改定の基本方針参考資料(診療所を含む全体方針):https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001568773.pdf