定着するクリニックの評価制度

  • #コラム
  • #
  • #

評価制度を誤解するとクリニック人事組織は崩壊する。

人が定着し活躍するクリニックが取り入れている
“人事評価の仕組み”について解説します。

その前に、クリニックでよく混同される2つの言葉
「人事評価」と「人事考課」の違い。
実はこの2つは似ているようで目的がまったく違います。
混同すると、スタッフに誤解を与えたり、制度が機能しなくなったりします。
そのため、まずは「何のための評価なのか」をクリニック全体で共有する必要があります。

 


目次

 

 

人事評価とは(広い意味での評価)

人事評価とは、
スタッフの“これからの成長を支えるための評価”です。

目的は、
・能力アップ
・キャリア形成
・配置転換の検討
・モチベーション向上など、人材育成のすべてに関わります。

つまり、人事評価は「スタッフの未来をどう伸ばすか」を考える場です。

内容も幅広く
・業績だけでなく
・意欲(やる気)
・行動特性
・協調性
・360度評価(多面評価)など、成長につながる材料を総合的に扱います。
人材育成が主目的。お金の話がないものを指します。

 

人事考課とは(査定・処遇を決めるための評価)

対して、人事考課は、「お金」と「役職」を
どうするかを決めるための“査定”です。

目的は
・昇給
・賞与金額
・昇進・昇格など、処遇の決定。

内容は“評価基準に沿って採点する作業”
・業績考課(数字や達成度)
・能力考課(スキル・知識)
・情意考課(勤務態度)などを基準通りに評価します。

処遇を決めるのが主目的。厳格さが求められます。

ひと言でまとめると

●人事評価=未来のための評価(個人の育成と成長が目的)
●人事考課=現在の処遇を決める評価(主に査定と組織形成が目的)

つまり、人事評価は「伸ばすための評価」人事考課は「決めるための評価」

この2つが混ざると、スタッフはこう感じます。

「結局お金のことだけ言われて終わる」 「どこが成長につながるのか分からない」

逆に、役割が整理されているクリニックは

評価への不信感が減り、納得度が高まるので、強い組織風土が形成されます。

──────────────────────

ここでは、スタッフの成長支援・処遇の決定・組織づくりまでを含む「広い意味での評価」を扱うため
用語をわかりやすく統一し、総称として「人事評価」と表記しています。

────────────────────────

クリニックでは、人事制度そのものよりも

「どのように決められ、どのように説明され、どのように運用されているか」

がスタッフの満足度・定着率・組織風土に大きく左右します。

制度の出来より“運用の質”がクリニック経営の明暗を分けるのです。

ここでは、ジムチョーが数多くの現場支援で蓄積してきた知見から

納得される評価制度づくりのポイントを整理と解説をします。

 

【1】制度は「手続きが公平に見える」

評価や制度を受け入れるとき、
「結果の良し悪し」よりも「決め方がフェアであるか」を重視します。

・どのように評価基準を決めたのか
・誰が判断するのか
・なぜそういう項目なのか
・修正できる余地はあるのか

これらをわかりやすく見える化し、スタッフが理解できる説明をすることで
多少の厳しい評価や、スタッフ間での結果の差があっても納得につながります。

制度の内容だけではなく、“どう決まったか”を説明できることが重要です。

 

【2】「賞与の前だけの対話」はうまくいかない

──日常的な対話とコミュニケーションで評価の納得度を高める

評価で揉めるクリニックに共通するのが、「賞与前だけ急に面談や査定をする」という運用です。

日常のコミュニケーションが薄いまま面談を行うと、スタッフは次のように感じます。

・普段は見てもらえていない
・突然評価されても納得できない
・基準が曖昧でよく分からない

一方、普段からこまめに仕事ぶりを言葉にして伝えているクリニックでは
「面談=確認作業」になり
大きな不満は生まれにくい傾向にあります。

評価制度は、書類ではなく“対話の習慣”で成り立ちます。

 

【3】報酬は「理由付け」で信頼が生まれる

報酬は「金額」ではなく、「理由づけ」によって信頼が生まれます。

クリニックのスタッフは、報酬の高低そのものよりも「なぜこの金額なのか」を知りたいと感じています。

・高い報酬には、評価された理由を
・普通の報酬にも、納得できる理由を
・伸びなかった場合は、改善方向が分かる説明と助言を

この“理由付け”がなければ、どんな金額でも不満が残りますし、高い報酬はいずれ慣れてしまい
モチベーションに向上につながりません。

「今回は人員が少ない中、本当にが貢献いただきました」
「あなたの仕事をこう評価しています」
「次回はこうなるとより評価をしたいと」など

報酬には必ずメッセージと想いを添えましょう。

 

【4】評価を“機械化しすぎる”と、かえって不公平な結果に

クリニックの仕事というのは
製造業や営業職のように「数字だけで優劣がはっきりつく職種」ではありません。

目に見える成果よりも“目に見えない行動の積み重ね”で成り立っている仕事ばかりです。

・患者対応の丁寧さ
・急な状況変化への柔軟な対処
・小さな気配り、目配り
・院長や看護師との細やかな連携
・忙しい仲間にそっと声をかける労い
・誰も気づいていない「名前の無い仕事」の処理
・混雑時の空気を読んだ動き
・新しいスタッフや後輩にかけるひと言

こうした行動は、月報やKPIに載ることはありません。

しかし、クリニックの現場では

こうした“見えない仕事”が積み重なって初めて患者さんの満足や地域からの信頼が生まれています。

────────────────────────

■だからこそ、数値だけで評価すると必ずズレが生じる

────────────────────────

「ミス件数」「受付処理数」「レセ返戻率」こうした数値はもちろん大切です。

しかし、それだけで評価するとまるでスタッフを点数化して並べているような窮屈さが生まれます。

・患者さんが安心して帰れたか
・スタッフが気持ちよく働ける空気をつくっているか
・困っている人に自然と手を貸しているか
・院長の“言葉にならない意図”を汲み取って動いているか

こうした“仕事の本質”が数字の外側にあるため、数値至上主義の評価はクリニックに合いません。

そして、評価と本人感覚がズレると必ず不公平感が生まれます。

「こんなに頑張っているのに、数字しか見てもらえていない気がする」
「見えない努力を誰も分かってくれない」

この感情が、モチベーション低下や離職を引き起こします。

────────────────────────

■評価制度には、算数と国語、そして“道徳”を!

────────────────────────

クリニックの評価制度には必要なのは
次の3つの視点で考えるとわかりやすいと私は考えます。

─────────────────

算数(数値で測れる部分)

─────────────────

・処理件数
・返戻率
・ミス件数
・勤怠(遅刻、早退、欠勤など)
・来院数の変動に対する対応
・マニュアル遵守率
・対応人数
・時間

これは評価制度の「土台」の部分です。

数値があることで、説明の客観性が生まれ
評価する側、される側の互いの理解のズレを防ぐ事ができます。

─────────────────

国語(言葉で丁寧に説明する部分)

─────────────────

クリニックにおいて本当に大切なのは、数値で表せない“行動の質”です。

・患者さんが安心できた理由
・スタッフ同士が助け合えた背景
・小さな改善を積み重ねた姿勢
・問題を未然に防いだ判断
・空気を読んだ動き
・組織の心理的な支えとなる力
・安心感や信頼関係

これらは言葉で伝えない限り、「存在しなかったこと」になってしまいます。

国語的な評価というのは、スタッフの努力に“名前をつけてあげる評価”だと考えます。

─────────────────

道徳(スタンス・姿勢・組織文化)

─────────────────

そして、私が現場で最も重視しているのがこの部分です。

・弱っている他のスタッフに優しいか
・患者さんに誠実に向き合っているか
・ホスピタリティ精神は欠落していないか
・院長の想いを大切にして動けるか
・責任感があるか
・誠実で嘘をつかないか
・“誰も見ていない場面”でどう行動しているか

これらを正当に点数化することはできませんが
クリニック経営の根幹を支えているほとんどは、この“スタンス”だと思います。

更に姿勢は、面談や日々の対話でしか伝えられません。

この様に、評価制度とは

算数だけでは片付かない。

国語のように言葉で伝え、道徳のように価値観を共有し、初めて“本当の評価”になるのです。

クリニックの評価は、「数値を揃える作業」ではなく「人を理解し、組織を整える」

という評価側である院長や管理職の大切な責務です。

クリニックの仕事は、目に見えない努力、名前の無い仕事、患者さんの表情に寄り添う感性
その場の空気を読む力など、“人としての力”が中心です。

だからこそ数字だけで評価すると、組織の温度が下がり、言葉だけで評価すると、公平性が失われる。

算数(数値)
国語(説明力)
道徳(姿勢や価値観)

この3つの要素が揃って、初めてクリニックに適した評価制度になります。

 

【5】評価に入り込む“偏り”を抑える仕組み

──5つの視点で不公平を最小化する

 

人事評価には、どれほど誠実に行っても“無意識の偏り(バイアス)”が入り込みます。

クリニックのように人間関係が濃く、少人数で回す職場ではその傾向がさらに強くなります。

偏りを完全になくすことはできません。

しかし、「偏りに気づき、必要に応じて修正できる制度」は確実に作ることができます。

ここで紹介するのは

私たちが数多くのクリニック支援の中で検証し、実際に効果が確認できた“5つの視点”です。

どれも現場で機能した経験則であり、理論としてまとめ直したものです。

 

 (1)正確性

   ──印象ではなく「事実」で評価する

 

人の評価は、どうしても“印象”に左右されがちです。

「最近ミスが多い気がする」
「よく動いているように見える」

といった感覚が、無意識に判断基準になることがあります。

しかし、印象だけで評価されるほど、スタッフにとって不安なことはありません。
評価の根拠になるのは、あくまで「事実の積み重ね」です。

 

わかりやすい例1

診察の検査
────────────────────────

医師が治療方針を決めるとき、「なんとなく悪そうだから」という印象では判断しません。

血液検査の数値、画像、問診、経過観察など、“事実”を集めて総合的に判断します。

人事評価も同じで

・いつ
・どの場面で
・どんな行動があったか

という「事実の記録」がなければ、公平な判断はできません。

人事も印象だけで評価するというのは

検査も画像も確認せずに治療方針を決めてしまうようなものです。

 

わかりやすい例2

印象では“ミスが増えた”が、事実は“改善していた”
────────────────────────

あるクリニックで、院長は「最近あのスタッフはミスが多い」と感じていました。

ところが、事務長が実際の記録を確認すると、ミスの回数は増えていないどころか、
“同じミスを繰り返さなくなっている”ことが事実として判明しました。

印象では「ミスが多いスタッフ」

事実を見ると「改善が進んでいるスタッフ」評価が反転した瞬間です。

記録がなければ、院長は印象だけで誤った評価を下してしまっていたかもしれません。

 

 (2)代表性

一人の視点ではなく「複数の視点」で判断する
院長だけが評価すると、どうしても偏りが生まれます。

なぜなら

院長が見ているのは“診療の流れ”や“患者への向き合い方”が中心であり
事務作業や裏方の仕事は見えにくいからです。
複数の立場から意見を集めることで、評価の精度は大幅に上がります。

・受付は受付リーダーの視点
・処置は看護師の視点
・経理は事務長の視点
・患者からの声も反映

多面的な評価は誤解を減らし、スタッフの納得感を高めます。

 

わかりやすい例1

院長が“気づいていなかった”貢献
────────────────────────

受付スタッフのAさんは、院長から見ると
「落ち着きがなく、慌ただしく動く印象」の人でした。

しかし、受付リーダーの視点では、Aさんは
・クレームを未然に防ぐ気配りがある
・患者の不安を先読みし寄り添ったを言葉でほどいている
・新人が困っていると自然にフォローしている

などという“見えない貢献”を多くしていたことが分かりました。
院長の印象だけでは「慌ただしいスタッフ」で終わってしまいますが
複数の視点を集めることで、Aさんの“本当の強み”が浮かび上がった実例。

 

わかりやすい例2

裏方の努力は、院長からは見えにくい
────────────────────────

看護師Bさんは、院長から見ると
「診療がスムーズだから助かる」という印象のスタッフでした。

しかし、事務長の視点では、Bさんは

・毎日こっそり備品の在庫をチェックし、欠品を防いでいる
・廃棄物の管理や感染対策を細かく守っている
・スタッフ間のトラブルを未然に鎮圧していたり
・わかりやすいクイックマニュアルを自主制作している

などという“裏方の重要な業務”を担っていました。

これらは診察室からは見えないため、院長一人の視点だと評価に反映されにくく
評価を見落としがちなポイントとなります。

しかし複数の視点があることで「チーム全体を支えるキーパーソン」という正しい評価ができた実例。

 

 (3)倫理性

人格を否定しない評価であること

評価はあくまで「行動」に対するフィードバックであり
スタッフ個人の人格や性格を評価してはいけない。

クリニックという医療機関での仕事はプレッシャーが強く
ミスの影響も大きいため、つい感情的に伝えたくなる場面があります。

しかし、人格に触れる表現は深い傷を残し、最も離職につながります。

評価において大切なのは、

「何が起きたか」を事実として伝え、
「どのように改善できるか」を前向きに示すことです。

×「あなたは気が利かない」(人格を否定するNG表現)
〇「○月○日の場面で、患者さんへの説明手順が一部抜けていました」(行動を具体的に示すOK表現)

たったこれだけで、スタッフの受け取り方は大きく変わります。

 

わかりやすい例1

ミスを“人の問題”にしない
────────────────────────

院長「最近ミスが多いね。しっかりしてよ」

これはスタッフの“人格と根本能力”を否定する言い方です。

 

一方で、行動に焦点を当てるとこうなります。

院長「この処置の手順が抜けてしまったみたいだね。どうすれば次は防げるか、いっしょに考えよう」

 

同じ内容でも、前者は“責められた”という感情しか残らず、後者は“改善できる”という希望が残ります。

倫理性とは、相手の尊厳を守ることです。

 

わかりやすい例2

態度ではなく“行動の背景”を見る
────────────────────────

看護師が忙しそうにしていて慌ただしく

院長は「最近態度がよくない」と感じたケースがありました。

しかし、事務長が状況を確認すると

・新人指導が重なっていた
・患者の急変対応が続いていた
・院内機器トラブルが頻発していた

という背景が判明。

“態度に見えたもの”は、実際には“状況と負荷”だったわけです。

「態度が悪い」で片づけるのは簡単ですが

行動に至る理由を丁寧に見ていくことが、倫理性のある評価につながります。

この実例は本当に多く見落としされやすいです。

 

 (4)修正可能性

やり直しできる余地を制度として用意する
評価は「一度つけたら終わり」というものではありません。

クリニックの現場では
日々の状況や制度は変わりやすく、スタッフの成長スピードも、負荷も季節ごとや月ごとに変化しやすいです。

だからこそ、評価には

“見直しができる余地”
“聞き直せる余地”
“説明し直せる余地”

が組み込まれている必要があります。

この仕組みがあるだけで、スタッフの安心感は大きく変わります。

・評価面談後に、本人が「補足説明」を出せる
・評価者が「誤った評価」を訂正できるルールがある
・評価基準そのものを毎年見直す仕組みがある

評価は「固定」ではなく、「更新」される

 

わかりやすい例1

誤解による過小評価を救う
────────────────────────

受付スタッフが「ミスが多い」と評価されたが本人が面談で説明したところ…

・実際には看護師への引き継ぎが途中で変更されていた
・新しいルールの口頭伝達が共有漏れしていた

などの事実が判明。

結果、評価が適正なものへと修正されました。

修正可能性がなければ、「誤解」でつけられた評価がそのまま残り、
スタッフの不信感とモチベーション低下につながるところでした。

 

わかりやすい例2

成長したスタッフへの“追いつく評価”
────────────────────────

ある事務スタッフは、面談時点では「平均レベル」と評価されました。

しかしその後2ヶ月で、

・業務改善を積極的に提案
・レセプト精度が大幅に向上
・院長の意図を先回りして動けるようになった

という急成長を見せました。

修正可能性のある制度では、こうした成長を「次回の評価に前倒しで反映」することができます。

これがあると、スタッフは「頑張ったぶんだけ評価が追いついてくる」と感じ

今後の成長意欲につなげる事ができた事例です。

 

(5)利害関係者の介入

   ──院長だけで完結させない

評価は、ひとりで決めるほど危険なものはありません。
院長が悪いわけではなく、“人は必ず偏る”という前提があるからです。

だからこそ、院長・事務長・各職種のリーダー・先輩といった「複数者での評価確認」が極めて重要です。

・院長 → 医療・診療全体の視点
・事務長 → 業務フロー・裏方の視点
・職種リーダー → 現場行動の細かな視点
・患者の声 → 外から見える視点

こうしてたくさんの視点を重ねることで、評価の“歪み”が自然と整い、精度も納得感も高まります。

 

わかりやすい例1

院長から見えない“裏方の仕事”
────────────────────────

ある看護師は院長から「普通」と評価されていました。

しかし、事務長・受付リーダーからの評価を加えると、

・新人スタッフのメンタルフォロー
・院内トラブルを未然に防ぐ調整
・感染対策や在庫管理を細かく担っている

など、院長が見えない貢献が多く判明しました。

結果、評価は見直され、そのスタッフは“クリニックを陰で支える存在”

としていなくてはならないメンターとして、あらゆるスタッフからは高い評価を受ける立場になった実例です。

 

わかりやすい例2

院長の“好き嫌い”が排除される
────────────────────────

院長が地味で活躍しているのか不明で「平凡に見える」と感じていた事務スタッフがいました。

しかし、事務長と受付リーダーが口を揃えて言いました。

「実は誰よりミスが少なく、裏方の処理能力が高い」
「消極的に見えるだけで、本質は丁寧な作業をする人」

多面的に見た結果、“院長の印象だけでは判断できない長所”が浮き彫りになりました。

こうして、個人的な相性や苦手意識による評価ブレが消えていき
正当な評価、そして適材適所に配置を成功させる事ができた事例です。

 

【6】評価は過去を裁く場であってはならない

私はこれまで、数多くのクリニックの人事制度と面談の現場を見てきました。

その中で一つだけ、どの現場にも共通していることがあります。

それは
「スタッフは評価の点数に怒っているのではなく“普段、見てもらえていない”という感情に傷ついている」

という事実があまりにも多い。

ある受付スタッフが、面談で静かにこう漏らしました。

「院長は忙しいのは分かっています。
でも……私の仕事をどのくらい見てくれているのか、不安になることがあるんです。」

その一言に、院長は深くうなずき、しばらく言葉が出ませんでした。

評価点がどうこうではありません。

“見てもらえていない孤独感”が長い時間をかけて積み重なっていたのです。

評価がトラブルになるのは、面談そのものが悪いのではありません。

半年間または1年間のコミュニケーション不足が、一気に噴き出すだけです。
だから私は院長に必ずこう伝えます。

評価は過去の採点のみではなく、未来につなぐ為の評価であって欲しいとして欲しいと。

評価を「裁き」から「伴走」に変えるためのポイントは、次の3つだと感じます。

 

 (1)行動の理由を一緒に探す

うまくできなかった行動の裏には、必ず理由があります。

・教え方にムラがあった
・手順書が分かりづらかった
・忙しすぎて注意が回らなかった

行動の背景を一緒に探っていく対話は、スタッフに「私は否定されていない」という安心感を生みます。

原因を責めるのではなく、“原因を理解し、一緒に改善する”という姿勢が何より大切です。

 

 (2)未来の行動に変換する

「できていない」「ミスが多い」

こうした指摘だけで終わる面談は、人を傷つけます。

しかし

「これができるようになると、患者さんがもっと安心できる」
「こう動けるようになると、あなたの負担も減って後輩育成がうまくいく」

という未来に向けた言葉に変わると、スタッフは前向きなエネルギーを得ます。

評価は“過去のジャッジ”ではなく、“未来の行動をデザインする時間”です。

 

 (3)小さな成長をその場で認める

これが最も強力な効果を持ちます。

「前回よりカルテ入力が正確になっています」

「最近、患者さんからあなたの対応を褒められましたよ」

ほんの小さな変化を、面談の場でしっかり認めるだけでスタッフの表情は明るくなり、時には涙ぐむことさえあります。

評価とは、“スタッフの成長に光を当てる場”でもあるのです。

 

最後に

人事制度は普段からの「習慣」に!

クリニックの人事制度がうまく機能するかどうかは、制度そのものの出来よりも、日々の運用習慣にかかっています。

・手続きが透明であること
・普段からの対話があること
・報酬には理由付けがあること
・偏りを修正する仕組みがあること
・面談が未来につながること

この“運用の積み重ね”こそが組織風土をつくり、定着率を高め、院長とスタッフの関係を良くしていきます。

制度をつくるだけではクリニックは変わりません。

制度が日々の習慣として根づいたときに、初めて職場の空気は変わり、組織は強くなります。

ジムチョーは、制度設計だけでなく、現場で本当に機能する“運用”まで伴走します。

 

【人事制度の導入・見直しをご検討の院長先生へ】

評価制度・等級制度・給与テーブル・賞与指針の設計から、
面談手順、スタッフ説明会、日々の評価運用まで、医科クリニック専門の立場でトータルに支援いたします。
お気軽にご相談ください。

-—-—-—-—-—-—-—-—-—-—-—-—-—-—-—-—-—-—-—-—

以下に、㈱ジムチョーのコラムとして完成版を再掲し

最後に厚労省PDFへのリンクを正式に添付しました。

そのままWEB掲載・note掲載・クライアント配布にご利用いただけます。

-—-—-—-—-—-—-—-—-—-—-—-—-—-—-—-—-—-—-—-—

2040年の医療法改正で何が変わる?

医療業界は今、大きな転換点を迎えています。

医療法改正が示す「地域全体で支える医療」についてわかりやすく解説しました。

今年厚労省がまとめた医療法等の改正案は、これまでの「病院中心の仕組み」から、外来・在宅医療・介護を含めた
“地域全体で支える医療” へ舵を切る内容です。

私たち㈱ジムチョーでは
クリニック支援を通じて、医療提供体制の変化が現場で“確実に始まっている”ことを感じています。

今回の改正案は、その流れを制度面から後押しするものと言えます。

ここでは、院長・事務長の皆さまが押さえておきたいポイントを、わかりやすく整理しました。

 

病床数の時代は終わり「地域全体の医療設計」へ

入院・外来・在宅・介護が“線でつながる”

医療はこれまで「病床(ベッド)の数」が中心でした。
しかし、2025年・2040年に向けて、患者ニーズは大きく変化しています。

・85歳以上人口の急増

・救急搬送・在宅医療の需要増

・慢性疾患の長期フォローの増加

この流れに対応するため今回の改正案では
病院・診療所・在宅医療・介護サービスを一体化して見直す方向が打ち出されました。

行政と医療機関が共に「地域全体をどう支えるか」を考えて設計する時代へ。

クリニックもその重要な担い手として、地域医療の中心に位置づけられます。

 

【わかりやすく解説】

これまで日本の医療は、「病院のベッド数が足りているかどうか」が議論の中心でした。

しかし、これからの医療の主役は “病院”ではなく“地域全体” へ移っていきます。

背景には、患者のニーズが大きく変わってきたことがあります。

・入院を必要としない高齢者が増えている
・慢性疾患のフォローや生活支援のニーズが上昇
・救急搬送後に「どこへつなぐか」が課題化
・自宅で最後まで暮らしたい高齢者が増えている

つまり、患者さんが必要とする医療は

「入院して治す医療」より
「住み慣れた地域で、必要な支援を受けながら暮らす医療」へとシフトしていく、シフトさせていく。と言う方向に。

このため国は、

・病院
・無床診療所
・在宅医療
・訪問看護
・介護サービス

これらをバラバラではなく 一つのネットワークとして機能させる方向へ舵を切り始めております。

簡単に言うと、「治療の場所を選ぶ医療」から「生活に合わせて医療側が動く仕組み」へ転換しつつある、ということです。
クリニックはこの“つながる医療”の中核として、ますます重要な存在になっていきます。

────────────────────────

【未来予想:これから10年で起きる変化】

今回の制度改革は、単なるルール変更ではなく
2040年の日本の医療のスタイル変換への内容が多く組み込まれています。

我々、ジムチョーの支援先現場の実態から見た未来像を、以下にまとめてみました。

外来・在宅・介護を横断できる“地域のかかりつけクリニック”の経営基盤が安定する

患者は「治療だけでなく、生活全体を支えてくれる医療」を求めるようになります。

このため、
・外来診療
・在宅医療
・介護連携
を一体化して提供できる診療所が「地域の中心」になります。

クリニックが“病院の入口”ではなく“地域医療のハブ”になる事で、経営が安定できる予想しております。

病院は重症患者特化へ。軽症・慢性疾患はクリニックへ移行、今後の医療は「役割分担」がさらに進みます。

・病院=急性期や専門治療
・診療所=かかりつけ医・慢性疾患・生活支援

この構造がより明確になることで
クリニックの機能が拡大し、求められる役割は今より大きくなる と予測されます。

────────────────────────

行政とクリニックの連携が強制力を持ちはじめる

地域医療構想は「努力目標」から「実務レベル」に格上げされます。

・地域の医療提供体制を行政と一緒に設計する
・病床数だけでなく、外来・在宅・介護の役割も調整対象
・クリニックが地域ミーティングへ必ず参加する仕組み

行政と医療機関がより密接に動く時代が訪れます。

────────────────────────

クリニックDX消極的、苦手では収益大幅減少する

電子カルテ共有・連携ツール・オンライン診療が標準化し
DX化に積極的なクリニックほど、地域から求められる存在になります。

逆に、DXが進まないクリニックは「地域ネットワークに入りづらい」という課題が生じます。

「地域に必要とされるクリニック」と「孤立するクリニック」の二極化が起きる

今後、医療機関はつながりを持つことで
患者支援の幅が広がる一方、孤立すると患者・スタッフの確保が難しくなります。

・地域包括ケアに参加するクリニックは患者層が安定
・孤立したクリニックは紹介も連携も得にくくなる

生き残りの鍵は“地域の中でどんな役割を担うか”に尽きます。

────────────────────────

今回の医療法改正は
クリニックが「地域医療の中心的な役割」として連携していくためのチャンスでもあります。

・偏った診療科の外来だけに頼らない運営モデル
・在宅医療との連携強化
・地域包括ケアの場へ積極参加
・DXによる情報共有の強化、効率化の確保
・介護・福祉との接点づくり

これらを早期に整備したクリニックが、2040年に必ず地域に欠かせない存在になります。

 

医師偏在の是正が本格化

「医師が来ない地域」と「診療所が多すぎる地域」の格差に本格的にメスが入ります。

全国で開業支援を行っていると、医師偏在が深刻になっていることは明らかです。

今回の改正案では、以下の取り組みが盛り込まれています。

・医師不足地域=「重点支援区域」を設け、補助金や手当を可能に

・医師過剰地域(特に都市部)では、新規開業ルールの調整あり

・管理者(院長)に一定の経験年数を求め、質の担保を強化

医師を不足地域へ誘導し、地域医療の崩壊を防ぐ仕組みです。

都市部での開業は競争がより激化し、一方で医師不足地域では「地域の要」として歓迎されます。
つまり医師が“足りない地域”と“多すぎる地域”の差に国が本気でメスを入れはじめます。

 

【わかりやすく解説】

日本は、医師が「足りない地域」と「多すぎる地域」の差が年々大きくなっています。

特に深刻なのは、

・地方の在宅医療
・救急・小児・産科
・医師1人で地域を支える診療所など、医師の確保が難しい分野です。

一方、大都市では

・無床診療所(クリニック)が急増
・医師が過剰な地域もある
・競争激化で単価が下がるという現象が起きています。

これを放置すると、「医師が多いのに医療が不便な地域」「医師が少なくて医療が崩壊する地域」
という歪みがさらに広がるため、今回の改正案では国が 偏在対策に強制力を持たせる 方針を示しました。

その主な仕組みがこれです。

・医師不足地域=「重点支援区域」として手厚く支援
・医師過剰地域=開業ルール調整や、新規参入への制限可能
・診療所の管理者に“経験年数”の基準を設けて質を担保

簡単に言うと
「医師が本当に必要な場所に、医師が行きやすくなる仕組み」を国が作り始めたということです。

クリニックにとっては、開業戦略や採用戦略に関わる重要項目です。

────────────────────────

【未来予想:これから起こる変化】

ジムチョーが全国のクリニックを支援してきた経験を踏まえ
この偏在是正策がもたらす「10年後の医療の姿」を予測すると、以下の変化がほぼ確実に訪れると予想します。

激戦区での新規開業厳格化

競争激化 → 差別化なき開業は生き残れない

都市部ではすでに
・生活習慣病外来
・内科のかかりつけ
は供給過多です。

新規開業の審査やルールが厳格化されることで、「一般の内科」では開業が通りにくい時代 になります。

これからは
・専門性
・地域ニーズ
・外来+在宅の複合モデル
・慢性疾患管理・予防医療 などの「明確な設計」がなければ難しくなるでしょう。

逆に地方・郊外での開業は“追い風”に医師不足地域では国の支援が強化される

重点支援区域に指定される地域では、
・手当
・補助金
・移住支援
などが手厚くなる見込みで、地方での開業はリスクではなくチャンスに変わります。
地方の患者さんは「先生に来てほしい」というニーズが顕著なため、初期の患者確保がスムーズで、経営の安定化も早い傾向があります。

────────────────────────

医師の“働く場所”の価値観が変わる
給与より「やりがい」「地域貢献」「裁量」の時代へ

若手医師の価値観は確実に変化しています。

・地方の方が経験を積みやすい
・裁量が大きい
・患者との距離が近い
・地域に必要とされる実感がある

いわゆる“都会での消耗戦”より、「地域医療でキャリアをつくる医師」 が増えていきます。

診療所としても、採用戦略をアップデートする必要が出てきます。

管理医師(院長)に経験年数が定められる改正案では、管理者に一定の臨床経験が求められます。

これは裏を返すと、スタッフ・患者・地域が、院長の経験値を「安心材料」として見える化できる時代になるということ。

採用でも患者獲得でも、「院長の実績」がより重要なブランド要素になります。

 

「医師の争奪戦」がシンプルに終わる

“医師が働きたいクリニックだけが残る世界”へ

 

今はどの地域でも「医師が採れない」という声が上がりますが
これからは偏在是正によって採用環境に次のような変化が起きます。

・都市部は過当競争 → 医師の取り合い激化
・地方は支援策増加 → 医師が来る理由が増える

さらに、医師側はこう考えます。

・スタッフが安定している
・業務が整っている
・理念・運営がクリア
・やりがいを感じられる

このようなクリニックに自然と集まるようになり

「行きたいクリニックにだけ医師が集まる未来」 が訪れます。

つまり、医師採用は“マーケット勝負ではなく、組織の魅力勝負”に完全に移行する。

今回の医師偏在是正は、クリニックにとって脅威ではなく「勝ち方がより明確になる」改革と捉えることができます。

 

今後クリニックが取るべき行動を次の3つにまとめました。

1 地域ニーズを理解し、自院の役割を明確化する
2 医師採用について“ブランド力”を鍛える(理念・仕組み・チーム力)
3 都市部に限らず、地方や郊外も開業候補に視野を広げる

制度が変わるときは、準備していたクリニックだけが伸びるというのは、私たちが支援してきた現場の共通点です。

 

医療DXが制度として加速

オンライン診療・電子カルテ共有・美容医療の安全管理強化
今回の改正案の中でも、クリニック経営に直結するのが医療DXの強化です。

・電子カルテの医療機関間共有の促進
・感染症等の報告体制のデジタル化
・オンライン診療を法律で明確化(基準・届出・説明義務を制度化)
・美容医療における資格確認・広告・安全管理の義務化

つまり、紙・FAX・経験頼りの医療から脱却することを、国が明確に打ち出した 形です。
オンライン診療の基準がはっきりすることで、
・導入が相性の良いクリニック
・慎重に判断すべきクリニック
の線引きがしやすくなります。

美容医療のルール整備は、真面目に取り組む医療機関ほどメリットが大きい内容です。

 

なぜ今なのか?

2040年に向けた“医療崩壊の予防線”
背景には、次の厳しい現実があります。

・高齢化は今後ピークへ
・医療従事者は確実に減る
・地域によって医療資源の偏りが拡大
・救急・在宅医療はどの地域でも増加傾向

このまま「今の制度」で医療を続けることは難しくなる。

今回の改正案は、その“構造的な危機”を前提に作られています。
制度を変える理由はただひとつ。

「2040年に医療を持続させるため」です。

────────────────────────

ジムチョーとしての視点
制度改正は、クリニックにとって“追い風”にもなる

医療法改正は難しく聞こえますが、クリニックにとってチャンスも大きいと私たちは見ています。

・在宅医療・慢性疾患フォローは確実に需要増
・地域連携が進むことで「選ばれるクリニック」が強くなる
・美容医療の安全管理強化で、適正な医療機関が評価される
・DX化によりスタッフ負担が減り、生産性が向上する
・制度の理解度が高いクリニックほど、地域での存在感が高まる

制度が動くときに準備していたクリニックだけが、数年後に大きく伸びます。
これは支援現場で何度も見てきた事実です。

 

最後に

医療は「治す場所」から「生活を支える仕組み」へ
今回の医療法改正案は、単なる制度の変更ではなく、医療を“点”から“面”へと再構築する動きの始まり です。

クリニックがこの変化を味方にするためには

・地域での役割の再定義
・DX化の推進
・スタッフが働きやすい仕組みづくり
・患者との関係構築
・将来を見据えた経営判断

これらが欠かせません。

㈱ジムチョーでは、制度改正に詳しいコンサルタントが、
各クリニックの状況に合わせた最適な運営戦略をご提案しています。
制度の変わり目は、クリニック成長の最大のチャンスです。

ぜひ、お気軽にご相談ください。

────────────────────────

医療法等の一部を改正する法律案の概要:参考資料(厚生労働省)