クリニック経営における「物価高対策」の考え方
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近年、光熱費・人件費・医療材料費の上昇が続きクリニック経営において
「物価高」は一過性ではなく、前提条件として捉えるべきテーマになっています。
一方で、診療報酬の上昇インパクトは小さく、「売上は上がるどころか横ばいなのに
「コストだけが上がり続けている」
という構造に悩まれている院長先生からの相談も少なくありません。
このような環境下で求められるのは、我慢や気合による対応ではなく
経営の現状を正しく分析し、具体的な対策を講じることです。
物価高対策とは、健全なクリニック経営を継続するために必要な資源を確保しつつ
ムダな支出構造を整えることだと考えられます。
目次
2.見落とされやすい「保険料」の再確認
3.金額が小さいからこそ注意したい「見ない固定費」
4.人件費は「削減」ではなく「使い方の見直し」
5.物価高を前提にした「点検の習慣化」
1.物価高対策の第一歩は「固定費」、次に「変動費」の把握
物価高対策の第一歩として重要なのは、固定費、次に変動費の把握です。
多くのクリニックでは、日々の診療に追われる中で
毎月自動的に支払われている固定費や、十分な検討時間を取れないまま発生している変動費について、じっくり見直す機会が後回しになりがちです。
特に、物価高の影響を最も受けやすいのは、実はこの「固定費」の部分です。
賃料、リース料、システム利用料、保険料、通信費など
「金額は大きく変わらないものの、長期間払い続けている支出」が
現在の診療規模や運営実態に合っているかを確認することが重要になります。
2.見落とされやすい「保険料」の再確認
固定費の中でも、特に見直されにくいのが各種保険料です。
火災保険、賠償責任保険、医療事故関連保険、法人向けの生命保険などは
「加入したまま内容を十分に把握していない」
「更新のたびに自動継続している」というケースも少なくありません。
補償内容が重複していないか
現在の診療内容や人員体制に対して過剰な設定になっていないかを
確認するだけでも、支出構造の中に潜むムダが見えてくることがあります。
3.金額が小さいからこそ注意したい「見ない固定費」
月額数千円から数万円程度の支出は、忙しい現場では「大したことがない」と判断されがちです。
しかし、こうした支出が複数積み重なることで、年間では想像以上の金額になります。
システムのオプション費用、保守契約、サブスクリプション型サービスなど
「導入当初は必要だったが、現在は十分に使い切れていないもの」が
残っていないかを棚卸しすることは、物価高対策として非常に有効です。
4.人件費は「削減」ではなく「使い方の見直し」
人件費は、クリニック経営において最も重要な投資の一つです。
そのため、単純な削減はスタッフの不安やモチベーション低下を招き
結果的に経営リスクを高める可能性があります。
物価高の中で意識すべきなのは、「人を減らすこと」ではなく
「人と時間の使い方が適切か」を確認する視点です。
特定のスタッフに業務が集中していないか
本来の役割以外の業務に時間が取られていないかを整理することで
追加コストをかけずに運営上の余力を生み出せるケースもあります。
5.物価高を前提にした「点検の習慣化」
今後、物価が元に戻ることを前提に経営を考えるのは、現実的とは言えません。
だからこそ、「一度の見直し」で終わらせるのではなく
「定期的に支出構造を点検する」ことが重要になります。
すべてを細かく管理する必要はありません。
「固定費」「保険料」「人件費への投資」など、確認するポイントを決めておくだけでも
物価高に振り回されにくい経営体質をつくることができます。

クリニックの物価高対策とは、節約や我慢ではなく「経営の設計を整えること」です。
特に、普段あまり意識されない固定費の中でも
サービス内容や契約の中身が十分に把握されていないものについては
丁寧に見直すことでコスト構造を整理でき、経営に余白を生み出す可能性があります。
「苦しいから削る」のではなく、「続けていくために整える」。
この視点を持つことが、これからの時代のクリニック経営において重要な物価高対策と言えるでしょう。