2026年 成功する求人、失敗する求人― 求人人口減少・賃上げ圧力・将来不安の時代に、優秀な若手はどの様にして採用すればいいのか?

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はじめに

2026年の求人を語るうえで、まず前提として共有しておきたいことがあります。
それは、「採用が難しい」という言葉自体が、すでに問題の本質を捉えていないという点です。

現在起きているのは、若手労働人口足りないだけでなく
若手労働者が職場の「選び方を変えている」という行動変容です。

この変化を正しく理解しないまま、

  • ただ求人媒体を変える
  • 給与を少し上げてみる
  • 文言をAIなどに工夫させる

といった対症療法を繰り返しても、採用は改善されず成功しません。

本稿では
求人市場の構造変化
求職者の思考変化
クリニック経営における人事と組織の再設計

これらを一本の線として整理してみました。

目次

 

1|2025年以前の求人が成立していた構造を、正しく理解する

2025年までの求人市場は
表面的にはシンプルに「売り手市場」と言われていきました。
多くの求職者にとって、仕事選びの基準は非常に明確でした。

  • 給与が生活に足りるか
  • 休日や自分の時間が確保できるか
  • 無理なく通勤できるか

この三点をクリアしていれば、「まずはやってみる」
という判断が成立していました。

特に医療業界では、

  • 一度入職したら長く勤める
  • 不景気に強く安定した職場

という感覚が、まだ色濃く残っています。

そのため求人票は「入口として最低限の情報を出すもの」という位置づけで
細かい説明は入職してから行えば良いとの認識が長らくありました。

 

2|2026年、求人は「精査される経営資料」になった

2026年の求人は、単なる広告という位置付けでなく、職者にとっては「リスク評価資料」ともなっています。

求職者は職場を「投資対象」として見ている傾向にあります。

今の求職者は

  • 時間
  • 体力
  • キャリア

これらを投下する先として職場をドライに見ている若手は少なくないです。

そのため

  • この職場は長期的に安定しているか
  • 組織として無理がないか
  • 人が辞め続ける構造ではないか

こうした点を、求人票の文面やデジタル情報から読み取ろうとします。
したがって、求人においてデジタル情報での曖昧さは失敗の要因になります。

仕事内容が曖昧
評価基準にも触れていない
教育体制も先のキャリアパスも見えない(イメージできない)

これらはすべて、「内部が整理されていない組織」という印象につながります。
2026年では、これだけで候補から外さていく、除外されていきます。

 

3|優秀人材が採用市場から減少

優秀人材が求人市場から減少していることは、もはや議論の余地がありません。

現場で特に強く感じるのは

  • 一定の即戦力性があり、業務の全体像を理解しながら動ける人
  • ITやデジタルに過度な苦手意識がなく、新しい仕組みやツールにも抵抗なく順応できる人
  • 職種や立場を越えて、周囲との関係性を意識しながら協調的に行動できる人

こうした要素を併せ持つ層は、育成される前に好条件の職場へ早期に移動する、もしくは現職に定着して市場に出てこない傾向が強まっており、結果として採用市場から明確に減少しています。

 

4|賃上げ・高待遇が効かなくなった理由を、経営視点で見る

賃上げは避けられません。

しかし、賃上げだけで人が定着しない理由は明確です。固定費としての人件費リスク。

医療機関では

  • 診療報酬改定
  • 患者数変動
  • 人件費率上昇

これらが同時に起きます。

求職者もそれを理解しているため、「今の給与が維持される保証はあるのか」という視点で見ている事は忘れてはいけません。

 

5|「手に職をつけたい」という言葉の本当の真意

この言葉の本質は、「環境が変わっても生き残れるか」という問いです。

クリニックで評価されるのは、汎用スキル

  • 業務を構造で理解できる
  • 多職種と連携できる
  • 改善提案ができる

こうしたスキルは、あらゆる職場を超えて通用します。
求人でここを示せるかどうかが、求職者には大きく刺さります。

 

6|キャリアパスは「昇進」ではなく「役割の進化」

2026年のキャリア設計では、「上に行く」より「どう価値が変化するか」
が重視される為、むやみな管理職登用で誘引するのは逆効果になります。

少人数で行うオペレーションであるクリニックでは、ポストは限られています。

だからこそ

  • 専門性深化
  • 横断的役割
  • 教育的役割

これを正直に示し
わかりやすいキャリアパスを構築することが採用時には信頼につながります。

 

7|クリニック経営における人事採用の本質

採用がうまくいかない最大の理由は、「組織設計が未完のまま人を入れている」ことです。

従来型の「人に仕事を合わせる」採用方式では、ミスマッチが生じ離職が続きます。

  • 属人化
  • ブラックボックス化
  • 感覚評価

これらは、採用難を経営者自ら加速させています。

 

8|採用と組織形成は、必ずセットで考える

人を入れる→教育する→評価する。この3点が噛み合わない限り
採用後は必ず離職し、採用の失敗を招きます。

院長一人でこのPDCAを回すのは、コスト的にも現実的ではありません。

2026年の求人は、単なる人集めではなく、経営戦略そのものです。

採用と定着を前提に、どんな組織をつくるのかを言語化し
実行できなければ意味がありません。

これまでと同じ採用方法を続けることは、もはや得策ではありません。

 

2026年の採用では、採用に加えて定着まで含めた戦略が求められています。

ただし、よく見せようと背伸びする事は逆効果です。
別コラムでは、この「定着」について詳しく触れていきます。