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2024年(令和6年)改定 生活習慣病管理料(Ⅰ)と(Ⅱ)

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2024年(令和6年)生活習慣病管理料(Ⅰ)と(Ⅱ)について

 2024年(令和6年)の大規模な(約6年に1度の頻度で実施されてきた)診療報酬改定において「特定疾患療養管理料」の算定対象となる疾患名称が変更となったうち、「除外となった疾患名:高血圧症、糖尿病、脂質異常症」への影響を受けて、内科を中心にこれまで算定されていたクリニックでは、今後のレセプト算定や患者対応方針の見直しが迫られています。

「特定疾患療養管理料」算定の際の半数を占める病名が「高血圧症、糖尿病、脂質異常症」である事から、全国のクリニックへの影響は大きく、今後のレセプト請求や、診療の方針変更について注目がされております。

その中でも、新設される生活習慣病管理料(Ⅱ)に算定移行を検討しレセプト請求をされるクリニックが多い事から生活習慣病管理料(Ⅱ)の内容やオペレーションに注目が集まっております。

「特定疾患療養管理料」から生活習慣病管理料(Ⅱ)への移行について(要約)

2024年度の診療報酬改定における「特定疾患療養管理料」から脂質異常症、高血圧、糖尿病の3疾患を除外し、「生活習慣病管理料(II)」への移行は、保険診療を主としているクリニックにとっては非常に重要な変更です。

この変更により、特定疾患の患者を多く診るクリニックでは、経営への影響を最小限に抑えるためにどの程度「生活習慣病管理料(II)」に移行できるかを検討する必要があります。以下要点の要約です。

特定疾患療養管理料

これまで、脂質異常症、高血圧、糖尿病を含む特定疾患の患者に対して、月2回まで算定可能でした。算定点数は診療所の規模によって異なり、100床未満の場合は225点、200床未満の場合は87点とされていました。

生活習慣病管理料(II)

新設されるこの報酬項目は、特定疾患で除外された脂質異常症、高血圧、糖尿病の患者に対する管理料で、月1回333点が算定できます。この管理料は、検査などが出来高制で算定可能となりますが、「外来管理加算」や「特定疾患処方管理料」との併算はできないため注意が必要です。

「生活習慣病管理料(II)「333点」の内訳」

「生活習慣病管理料(II)」「333点」

・外来管理加算「52点」

+特定疾患療養管理料「225点」

+特定疾患処方管理加算2「56点」

(2024年度改定で66点から56点に-10点引き下げ)

「生活習慣病管理料」は、「生活習慣病管理料(I)」に変更

従来の「生活習慣病管理料」は、「生活習慣病管理料(I)」と区分わけてされます。

脂質異常症570点→610点高血圧症620点→660点

糖尿病720点→760点

※40点アップ(内訳:脂質異常症570点→610点、高血圧症620点→660点、糖尿病720点→760点)

従来の「生活習慣病管理料」の算定(レセプト請求)が内科を中心としたクリニックでも多くなかった理由に以下がありました。

・「療養計画書の作成」

・「患者に対してインフォームドコンセントを行い、署名を受ける」

 

血液検査結果を別に手交している場合に記載を省略できるなど、「療養計画書」を簡素化できる例外もある一方、診療ガイドライン等を参考に疾病管理を行うことについて要件としております。また管理栄養士などの多職種連携を望ましい要件とするなどの変更も見られます。

 

「生活習慣病管理料」(Ⅰ)と(Ⅱ)算定要件(クリニック(診療所)版)

「生活習慣病管理料」(Ⅰ)算定要件

・対象主病名疾患・・・高血圧症、脂質異常症、糖尿病

・医療計画の策定・・・診療ガイドラインを参考に病理管理

・療養計画を患者に説明と同意を得て署名をいただく

・服薬、運動、休養、栄養、喫煙、及び飲酒等の生活習慣に関する総合的な管理を行う

・交付した療養計画書をカルテに添付保管

・計画書は概ね4月以内に1度は交付すること ※療養計画書の簡素化の例外条件

・2025年度(令和7年度)運用開始予定の電子カルテ情報共有サービスを活用する場合は「血液検査項目」の記載を不要とする。併せて、患者の求めに応じて電子カルテ情報共有

・サービスの患者サマリーに、療養計画書の記載事項を入力した場合、療養計画書の作成及び交付をしているものとみなす。

・治療計画の実施は多職種で行う(必須ではなく望ましい要件)・・・歯科医師、薬剤師、看護師、管理栄養士、等(条件により非常勤でも可)

・掲示要件・・・長期投与及びリフィル処方箋の発行について院内掲示

・月1回以上の診察要件・・・除外する

「生活習慣病管理料」(Ⅱ)算定要件

生活習慣病管理料(Ⅰ)が検査包括に対して、生活習慣病管理料(Ⅱ)では検査が包括外になります。
つまりに別途併算定できるということになります。従って、基本算定点数が低く設定されております。
その他の算定要件についてはおおむね同じ要件となっています。

ただし、生活習慣病管理料(Ⅱ)をレセプト算定した場合には、6カ月は生活習慣病管理料(Ⅰ)を算定できないとされています。
レセプト請求において生活習慣病管理料(Ⅰ)と生活習慣病管理料(Ⅱ)を交互や変動的に算定すると、返礼や減算の対象となる可能性がありますので注意が必要といえるでしょう。(算定日の属する月から6か月算定できない)

また、生活習慣病管理料(Ⅱ)について、情報通信機器を通じて診察を行った場合は、290点となります。(対面時の333点から43点のマイナス)(「情報通信機器を用いた診療」には施設基準届出が必要)

元々、生活習慣病管理料(改定後生活習慣病管理料(Ⅰ))は月1回検査をもとにして管理していくことが原則でしたので、新設される生活習慣病管理料(Ⅱ)が、検査を外付け加算することにより、「オンライン診療による管理」でも可能となった為、診療のバリエーションが豊富になったといえるでしょう。

「生活習慣病管理料(Ⅰ)」から「生活習慣病管理料(Ⅱ)」への移行について

現状、安定して「生活習慣病管理料(Ⅰ)」算定中の患者さんは、移行せず算定継続を行い、まだ対象となる患者さんの管理がうまくいかない状況では、生活習慣病管理料(Ⅱ)の算定を検討し、外付け検査に移行をされる先生が多い印象です。
現実、「頻回な検査対応」と「療養計画書の同意」の対応オペレーションに頭を悩ませているのが現状です。
クリニック内の現状と、患者さんの状況から判断をして計画をする必要があるかと思います。

また、一度「生活習慣病管理料(Ⅰ)」又は「生活習慣病管理料(Ⅱ)」を算定した場合、相互の算定変更がしにくい為、既存患者さんのリストアップから行いしっかりと計画を立てる必要があります。

「POINT」
・生活習慣病管理料(Ⅰ)から生活習慣病管理料(Ⅱ)
・生活習慣病管理料(Ⅱ)から生活習慣病管理料(Ⅰ)
※「算定した日の属する月から6か月算定できない」

「POINT」
・状況安定している患者さん:生活習慣病管理料(Ⅰ)の算定が有効
・状況不安定で今後も診療と検査が必要な患者さん:生活習慣病管理料(Ⅱ)の算定が有効
※いずれとも、患者さんの状態を見極め、適切な治療管理の継続、重症化予防を行うことが求められております。

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